勉強方法

【古文学習方法】【入試・定期テスト対策】古文攻略シリーズその3

香川県高松市で受験情報発信をしております、魁(さきがけ)です。埼玉時代に元塾長に大変お世話になった縁で、今回、寄稿します!

 

このシリーズでは古文との接し方プラス攻略法を書いていきます。

 

今回は、今からすぐにできる、効果的な勉強法・試験準備法・試験中の注意事項をお伝えします。

 

あなたは杉下警部?それとも古畑任三郎?学習の2つの型を解説

いきなりですが…、この記事を読んでくださっている皆さんは、刑事ドラマをご覧になりますか?

 

ロングランシリーズで根強い人気、水谷豊さん主演のテレビ朝日系「相棒」は刑事ドラマの王道をいく作品です。

 

事件発生(犯人は謎)

特命係(杉下警部と相棒)が首を突っ込む

捜査一課が見落としていた証拠を発見

特命係が上官の圧力を受け流して犯人を追い詰め、検挙

 

という、サスペンスをテンポよく見せてくれますね。

「細かい証拠から推理し、犯人を捕まえる」という流れのドラマです。

 

観ていると、「どうなるんだろう?」「誰が黒幕なんだろう?」とドキドキしながら濃い時間を過ごせます。

 

それに対して、舞台作家の三谷幸喜さん脚本で、名優田村正和さん主演「古畑任三郎」シリーズは、1994年の第一シリーズ放送から圧倒的な人気を博し、2006年のファイナル(08年には中学生編もありました)まで高い視聴率を誇りました

 

田村正和さんの創り上げた魅力的な刑事古畑のキャラクターはもちろん、従来のサスペンスとは異なる構成が視聴者を惹きつけたのではと思います。

 

犯人が犯行に及ぶ(視聴者は、オープニング直後に犯人を知る)

犯人逃走

古畑任三郎が現場付近に居合わせるか、到着する

細かい証拠や被疑者の発言から、古畑は犯人を確信

初見の確信を元に犯人を追い詰め、逮捕

 

という流れです。

 

時に底意地が悪いのではないかというほど、犯人が嫌がる問いかけや選択を用意する古畑と、絶対の自信があったはずのアリバイを確実に崩されていく犯人の狼狽ぶりが対照的で、内心犯人を応援したくなってしまうほどです。

 

余談ですが、古畑任三郎の話の流れは、故ピーター・フォークさん主演「刑事コロンボシリーズ」の、倒叙型という「犯人を先に見せ、いかに追い詰めていくかの人間模様を見せる形式」を模倣したそうです。

 

話を戻します。杉下警部も古畑警部補も、どちらの刑事も大変有能でいい意味でしつこい性格をしています。

 

しかし、それぞれのドラマの脚本には、

【杉下型】 細かい証拠から犯人を推理していく

【古畑型】 犯人を示してから、細かい証拠をそろえていく

という大きな違いがあります。

 

刑事ドラマで例えましたが、実は学習法において今挙げた考え方の2パターンは対等に論じられており、どちらにも長所短所があり、使い分けすることで理解力が一気に高まります。

 

杉下型は、学習法での呼び名は積み上げ型、ボトムアップ型」と言います。古畑型は、答えを先に見せて考えさせる「トップダウン型」の学習法と呼ばれます。

 

(学校や塾では圧倒的にボトムアップ型の学習法が多いです。日本の義務教育を経ると、ボトムアップに慣れていることから、答えを先に教えるように見えるトップダウン型をズルイ!おかしい!と思いがちですが、あくまで対等なのです)

古文勉強方法

さて、古文の勉強において、この2つの型をどう使い分けるのか、詳しく説明します。いくつかご質問をいただいているので、それにお答えする形で進めていきます。

Q1中間テストや期末テストの古文では得点できるのですが、実力テストや模擬試験ではうまくいきません。何か対策はありますか?

【重要単語を大きなテストの前に覚えなおしましょう】

実力テストや模擬試験は、初見の文章を読むことがほぼ確実です。どんな文章かは、前回の記事でお伝えした「4つのパターン」から推測してください。

 

4つのパターンを紹介した記事はこちらです↓

【古文対策】古文攻略シリーズその2【古文の4つのオチ】香川県高松市で受験情報発信をしております、魁(さきがけ)です。埼玉時代に元塾長に大変お世話になった縁で、今回、寄稿します! ...

 

初見の文章であったとしても、今までに学習した「古文重要単語」がかなりの確率で出てきます。

 

一度習ったはずの単語を訳せないとなると、試験中に大きなストレスがかかります。

 

今から試験まで2週間以上あるなら、薄い本でいいので、自分が「読みやすい!」と直感できる古文の参考書を1冊だけ買ってもらうといいでしょう。

迷わず買おうと思えるもの何冊もでなく1冊がポイントです。買ったらすぐ開いて、入試の日までその1冊で繰り返し学習しましょう。

 

【重要単語とは?】

現代語と一見同じに見えて、意味が異なるものです。多くのライバルが引っかかるので、あなたは乗り越えましょう。

 

複数の意味があるものも見分ければ、単語知識は相当手堅くなります。

 

例を挙げます。

 

「あやしう(怪しう)」

現代語では、怪しい=不審であるの意味で用いることが多いですね。怪しい人物に注意などと用います。

 

古語では、①不思議だ ②珍しい ③よくない ④心配だ というふうに意味が多く、なおかつ現代語と異なります。

※とてもよく出る単語のひとつです。

 

【本番で気をつける点は?】

古文についている「注訳」と、意味を聞く問題の「選択肢」から本文の意味を推理して読み進めましょう。

 

公立高校入試や模擬試験の問題研究をしていると、驚くほど注訳と選択肢にヒントが込められていて、「本当にここまでわかりやすくしてもいいの?!」と思ってしまうことが多々あります。

 

選択肢なら、アイウエオのどれかが本文のことを正しく言っているはずです。

 

なんの手掛かりもなく意地でも自力で!と焦りながら訳を考えるのと、4〜5個のうち1〜2個を選ぶつもりで読み進めるのと、試験時間が迫る中であなたはどちらを選びますか?

 

さて、実力テストや模擬試験では「ボトムアップ型」トップダウン型」のどちらをメインに使って問題を解くかわかりましたか?

 

単語や注訳、問題の言葉から、全体の意味をだんだん推理していく…。

 

そう、今回は「ボトムアップ型」ですね!

(時折、ほぼ全訳がついている特殊な問題もありますので、その場合は次のトップダウン型でいきましょう!)

 

入試や模試までにしっかり基礎知識を身につけることが重要です。

Q2実力テストや模擬試験はそんなに悪くありませんが、中間テスト、期末テストではイマイチです。ホントの実力があるのでしょうか?

「トップダウン型」で勉強しましょう。

 

今は実力はあるかもしれませんが、得点力がありません。そして、得点につながらなければ実力があることにはなりません。

 

【卑怯ではなく、正しい!自信を持って訳から入りましょう。】

学校の試験範囲である勉強する古文は、訳がついていますね?

 

古文を単語から読み解いて、訳を完成させるという流れではなく、全体の訳を真っ先に時間をかけて覚え、その訳を頭に置いた状態で古文を勉強してください。

 

古文という、耳慣れない言葉たちをひと言ひと言考え、積み上げていくのは大きなストレスです。現代語訳をとらえて、そこから細かい言葉や表現を理解していきましょう。

 

【反復が必要!】

トップダウン型と丸暗記は異なりますが、試験範囲の古文をトップダウン型で勉強するなら、現代語訳と古文の本文を覚えるまで読むのは避けて通れません。

 

試験の日までの日数を計算し、最低でも合計50回になるよう割り算してください。

 

試験1週間前から始めると、50÷7=7あまり1。1日7回以上になってしまいかなりきついですが、3週間前なら多くとも1日2〜3回です。

 

家の人に聞こえなくていいから、声に出して音読すること。発音することで自分がいい加減に学んでいた箇所が自覚できます。黙読ではほぼ不可能です。

 

発音がよくわからないところは蛍光ペンでマーク。すかさず調べたり、意味や読み方を質問に回しましょう。

 

重ねるにつれて言葉と意味に慣れ、その範囲についてはマスターすることができます。

 

範囲が決まっている定期試験の準備は、これで必ず向上します!

Q3とにかく古文が苦手です。どうしたらいいですか?

古文が苦手で…という悩みを抱える中学生はたくさんいます。

 

統計に基づく数字ではありませんが、残念ながら食わず嫌いしているお子さんが100人中85人といったところです。

 

苦手なんですと言うあなたに逆に質問させてください。

 

あなたは古文の何が苦手ですか?苦手の正体を整理整頓できていますか?

 

たとえば、歴史かな遣い係り結びは、アルファベットの小文字を覚えるのと同じくらい、古文の勉強の初歩で大切なことです。

 

歴史かな遣いや係り結びなどは、覚え方に特別な方法がないのです。

 

アルファベットの小文字を覚えるのに、楽な方法はなく、読んで書いて覚えましたよね?

 

かな遣いや係り結びは何とかなると言うあなたは、古文の嫌な点を古文のノートに書き出してみましょう。

 

その時に、わからないところと、嫌な気持ちをゴチャゴチャにしないように、事実と気分を分けて書くことです。ただ苦手です!では誰もあなたを助けられない。

 

お医者さんに「なんか変なんで、なんかクスリください」とは言いませんね。

 

いつから熱があり、どこが痛くて、良くなっているのか、悪くなっているのか、傷んだものを食べたり、身体が冷えたりした覚えがないか自分でわかる限り、診察室で伝えるはずですね。

 

別々に書き出した、勉強のわからないところと嫌に思うところを箇条書きにして、近くにいるプロに見せてください。

 

そうすることで、何かの診断をして、具体的なアドバイスができます。

 

突き放しているのではなく、現実をお伝えするために言います。

 

苦手なんで…と悩む時間がもったいないので、ここまで述べてきたことを行動してください。現実は行動でしか変えられません。

Q4何のために古文を勉強するんですか?意味が感じられません。

身も蓋もないことを点取らせ屋の立場から言いますと、「試験に受かるために古文が0点では不利なので、必要だから」です。

 

含蓄ある授業をされる学校の教師さんなら、「豊かな心をー」「先人たちの考えに触れてー」などとそれらしい動機付けをできるかもしれませんが…。

 

今は点を取るためと、将来の合格のためと割り切っていいです。

 

古文に特別興味が湧いて、教科書以上に何かを習得したいなら、趣味で自宅で古文に飽きるまで触れればいいです。(生徒側も教師側も)

 

テストにおける古文の価値はどれくらいのものでしょうか?

 

全国の公立入試問題や模擬試験を見るに、試験時間を1科目50分とするなら、当日古文の大問に使える時間は5〜8分が限界。

 

埼玉県なら5科目の筆記試験500点のうち、国語は100点。うち古文は4問12点

 

他の都道府県も大差はありません。苦手感を抱きやすいので目につきやすい古文ですが、考える時間は一瞬、得点源としてはほんの少しです。

 

古文だけで志望校に合格することもできませんし、古文だけで不合格になることもありません。

 

古文を恐れすぎず、今回の記事でお伝えした準備をして不安を減らして試験に臨んでください。

 

やってみたら切り替わって、意外と点が取れた!というお子さんはたくさんいるんですよ。食わず嫌いの85人中、70人はそういう反応をします。

 

それでも古文の学習に別の意義を見出すとしたら、「可能性が生まれることは良いこと」という点が挙げられます。

 

戦後の日本の義務教育は、平均的な人間を大量に育成するためのものだという指摘を受けることがあります。

 

各科目を出来る限り薄く広く学習していくことで、バランスが取れ、オールマイティに近く、常識的な若者が育つことになるという意見です。

 

同時にその広く薄い勉強の一部(たとえば古文)が、お子さんたちの「楽しい、面白い」という発見のきっかけになる可能性もあります。それが高校から先のお子さんの未来につながる可能性は…低いですが、ゼロではありませんね。

 

どの科目のどの単元にも言えることですが、古文もお子さんにとって何かの気づきのきっかけになるかもしれません!


魁(さきがけ)

香川県高松市在住。埼玉時代に元塾長から師事を受ける。元塾教務部長で現在はコック。
最近の悩みは、レシピに従うか、目分量で押し切るか。

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