埼玉県高校入試

【埼玉県私立高校入試の仕組み】確約のもらい方

「確約って何?」

「北辰テストを受けなくちゃいけないの?」

「内申点も関係するの?」

 

埼玉県の私立入試は少し複雑で、世間で「確約」と呼ばれる制度を使い入試に臨みます。入試が初めてのご家庭は、「そもそも確約って何?」というご質問だったり、どうすれば確約になるのかなどの不安を抱えてしまいます。

 

そして、仕組みを理解をしていないと、模試代を無駄に支払ったり、実力と受験校にギャップのある入試になってしまったり、受験を通して損をする可能性があります。

 

この記事では損をしないためにも、埼玉県の特殊な制度である、「確約」についてできるだけ簡単に解説します。

この記事でわかること

・埼玉県の私立高校入試の仕組み(確約制度)について

・確約に必要な成績の基準について

・確約を確かめる方法

 

確約とは

確約制度とは、「私立高校の提示する基準を満たした場合、合格の約束をしてもらう制度」です。

 

入試本番の点数は、ほぼ関係ありませんプレッシャーを感じることなく、受験できることはこの制度のメリットです。埼玉県の私立高校は一部の高校を除き、この確約制度を実施しています。

確約制度を実施しない高校
慶應義塾志木高等学校・早稲田大学本庄高等学院・立教新座高等学校

これらの高校は推薦入試という名前の入試であっても、確約ではありませんのでご注意ください。

 

確約制度を実施している学校では、必ず確約をもらうようにしてください。確約をもらうとほぼ確実に合格となりますが、逆に確約をもらっていないと成績が良くても合格するのが大変難しくなります

・確約とは受験前に行う合格の約束

・確約をもらうには成績の基準を満たす必要がある

・一部の学校以外確約制度を実施(都内にも確約制度を実施学校がある)

・受験する私立高校は必ず確約をもらう

 

確約をもらうまでの流れ

それでは確約をもらうまでの流れを説明します。

まずは、確約基準となる成績表を準備します。基本的に確約の基準としてみられるのは、中学3年生時1学期と2学期の通知表、そして北辰テストの成績表です。これらを揃える必要があります。

①7月から北辰テストを受ける

北辰テストを受けましょう。確約の基準として必要となります。

 

多くの学校では、7月以降の成績を基準として扱うので、7月から受ければ十分ですが、練習したい、場になれたいという人は、6月から受けることをオススメします。

 

また、一部の学校では4月の成績を見てくれる学校もあるようですので、志望する学校に問い合わせてみるといいとおもいます。

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北辰テストの成績を必要としない私立高校も多々あります。

 

つまり、中学校の通知表だけで判断するということです。しかし、通知表の成績では満たしていないけど、北辰偏差値は基準に達しているという生徒を何人も見てきました。可能性を広げるためにも、北辰テストを受けておくべきだと思います。(もちろん、自分の力を知ること、入試練習のためにも北辰テストの受検は必須です。)

②個別相談会に参加する

9月から各私立高校が主催する個別相談会に参加します。

 

学校説明会ではありません。学校説明会と個別相談会は、セット開催されることもありますが、別のものだとお考えください。個別相談会は、個別で私立高校の先生と成績を見せながら話す機会です。

 

この相談会に保護者と子供で参加します。中学3年1学期or2学期の通知表・北辰テストの成績表(最新のもの)・その他検定などの証明書を持っていきます。

 

検定や部活動の記録や習い事の記録で、加点をしてくれることがあります。例えば、英検漢検3級、県大会出場、習字や硬筆などです。詳細は次の基準についてで説明します。

③確約をもらう

個別相談会で通知表北辰テストの成績表を提出し、高校の定める基準に到達していれば確約をもらえます。

 

基準に達していない場合は、確約は出ません。多くの先生方は、足りないところを教えてくれます。「あと偏差値2足りていないね」「内申点をあげてきてください」などです。その私立高校の確約がまだ欲しい場合は、基準を満たしてから、再度個別相談会に参加してください。

 

成績が達成したから勝手に確約になるということはありません。私立高校に登録をしてもらわなくてはいけません。

 

また、確約は受験義務ではありません。確約をもらって願書を出さないことはたくさんあります。

 

少しでも受験する可能性がある高校は確約はもらておくことをおすすめします。入試直前に慌てて確約をとりにいくのは大変です。可能性がある学校は2〜3校行っておくといいですよ。

・資料を準備する(北辰テストの成績表、中学校の通知表、検定など)

・個別相談会に参加する

・私立高校が提示している基準を満たせば確約がもらえる

 

 

基準について

北辰テストの偏差値」「中学3年1学期or 2学期の内申点確約の基準となり、各高校が設定します。英検・漢検や部長・生徒会役員などの実績は、偏差値や内申点に加点されます。

 

※北辰テストの偏差値は、7月以降の1番目と2番目に高い偏差値の2回の平均値を使用します。

 

各高校が定める内申と偏差値の数値のどちらか(例①)、または両方とも(例②)達していると確約がもらえます。以下の例を使って解説します。

基準の例

学校名 形式 内申 偏差値

A高等学校

(進学コース)

単願 5科5段階 18 3科or5科 57
併願 5科5段階 19 3科or5科 59
B高等学校
(普通科)
単願 3科5段階 12 3科or5科 63
9科5段階 34
併願 3科5段階 13 3科or5科 66
9科5段階 37

 

 

単願と併願について

単願と併願では基準が異なるので、先にこれらについて説明します。

 

単願…合格したら必ずその学校に入学する

併願…合格してもその学校への入学を拒否する権利をもつ

 

公立高校や他の私立の高校を第一志望とする場合、併願形式の受験となります。

 

A高校の基準(例①)

学校名 形式 内申 偏差値

A高等学校

(進学コース)

単願 5科5段階 18 3科or5科 57
併願 5科5段階 19 3科or5科 59

 

この場合、中学3年1学期または2学期の通知表の5科目(国数英理社)が、18以上であれば単願は確約となります。

 

7月以降の北辰テストの偏差値(2回平均)が57以上でも単願の確約です。A高校の場合は、北辰テストの偏差値、内申点、どちらかの基準が満たせば確約です。

 

そして次は併願を身でみましょう。中学3年1学期または2学期の通知表の5科目(国数英理社)が19以上であれば確約ですね。

 

7月以降の北辰テストの偏差値(2回平均)が59以上です。

 

併願も北辰テストの偏差値でも、内申でもどちらか一方が到達していれば確約です。

 

そのため、偏差値が伸び悩んだとしても内申点が高ければ、確約がもらえます。逆に、思うような内申点を取れなかったとしても、北辰テストで挽回することができます。

 

学校によって異なるので、一度高校に行ってみることをお勧めします。意外な確約が取れるかもしれません。

B高校の基準(例②)

B高校
(普通科)
単願 3科5段階 12 3科or5科 63
9科5段階 34
併願 3科5段階 13 3科or5科 66
9科5段階 37

次に違うパターンの高校を紹介したいと思います。

B高校の場合は例①とは異なり、内申点3科、内申点5科、北辰テストの偏差値(2回平均)の3つの数値で基準を満たさないと確約になりません学校の成績も北辰テストもどちらも頑張らなくてはいけません。

 

「偏差値取れればいいんでしょ~」なんて思っていると大変です。

 

このように私立入試の仕組みと、各学校の基準を早くから理解しないと、いざ受験校を決めるときに後悔をすることがあります。

 

個別相談会に参加して、確約が取れるかを確認するまで安心できません。

検定の扱いについて

私立高校が提示する級の英検・漢検・数検を取っていると、加点してくれることがあります。以下の例をご覧ください。

【Aさんの成績】

・偏差値50・内申27

・英検3級を取得

【志望している私立高校の基準】

・偏差値55・内申28(偏差値か内申どちらか満たせば良い)

英検3級は加点

【結果】

内申が1足りていなかったが、英検で1加点されて確約が取れた

 

このように検定は基準が足りない時の加点要素として機能します。持っていた方が有利ではありますね。

検定以外にも、部活動や習い事の成績や校外活動など加点要素はあります。

学校によって異なるので、個別相談で確認してください。

・私立高校によって基準は異なる

・内申点は3年生の1学期か2学期どちらか

・北辰偏差値は7月から12月の良い成績2回の平均が多い

・内申点か北辰テストの偏差値どちらかだけ満たせば良いという私立高校がある

・内申点か北辰テストの偏差値どちらも満たす必要がある私立高校がある

・単願と併願で基準が異なる

・加点要素がある

 

高校側とは確約と言わない!?確約を確かめる方法

実は「確約」とは業界用語のようなものであって、学校側は個別相談会でこの言葉を使いません。

 

代わりに使う言葉は、「合格圏」「安全圏」「80%合格」「◎」などです。学校によって異なります。

 

不安な場合は「確約ですか?」と聞いてしまうと良いでしょう。

 

「確約とは言えないのですが…まぁ大丈夫です。」「安心してください。」という返答があれば確約と判断できます。

 

逆に確約ではない場合「偏差値1上げてきてください」「2学期の通知表を持ってきてください」など、課題を教えてくれて、再度個別相談会に来るように言われます。

 

「確約ですか」と聞いたところで、マイナス評価になったりしません。安心して聞いてしまいましょう。

 

それでも不安な場合は、高校受験さぽーとのLINE@で相談してください。わかる限りお答えいたします。

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確約を効果的に使いましょう

確約制度は特殊ですし、ネガティブな意見があります。しかし、効果的に使えば得をすることがたくさんあると思います。

9月や10月に進路が決まる

早く決まってしまえば、得することがたくさんあります。

 

9月に決まってしまえば、それ以降の北辰テストを受ける必要がなくなるため、15,000円~20,000円ほど節約できます。

 

また、塾の費用を抑えることもできます。塾にもよりますが、必要ないと思った講座はキャンセルすることができます。

 

時間的な余裕もできるので、大学入試に向けて英語の学習に力をいれてもよいかと思います。

安心して公立高校対策ができる

1月は流石に目の前の私立入試対策をすると思いますが、実は確約があれば、そこまで私立対策に注力する必要はありません。

 

それよりも公立高校を第一志望としているのであれば、理科社会に力を入れたり、公立高校の問題をたくさん解いたり、公立高校の対策を行うことができます。

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さいごに

確約制度、どうでしたでしょうか。制度が十分理解できると、使い方によっては良い制度になりますよね。やはり、入試は情報勝負です。

 

ここで学んだ知識と学校の情報を合わせて、満足のいく受験となるように願っています。

 

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